- INTRODUCTION
- 同窓会で30年ぶりに再会した男と女。もう決して若くはないけれど、互いの顔を見た途端、あのころの初恋の思い出がよみがえる・・・。
中学の卒業式の前日に、少女は勇気をふるい起こして少年の耳もとに何かをささやいた。しかし、彼女の願いはかなえられることはなかった。その言葉は、彼の耳には聞こえなかったのだ。
あれから30年。女はずっと男のことを思い続けていた。結婚しても、子供が産まれても、その想いは変わらなかった。少年からもらった白い貝殻と、ジャン・コクトーの詩の一編“私の耳は貝の殻 海の響きを懐かしむ”を、唯一の心のよりどころに生きてきた。そして、離婚して郷里に戻ってきた彼女は『コキーユ』という名のスナックを開く。コキーユとは“貝殻”という意味だった。
- Note
- 原作:山本おさむ「コキーユ〜貝殻」(小学館)
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