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「いとしの未来ちゃん」特報

「文學ト云フ事」の天才演出家
片岡K・最新作始動!
【東京12日 北川昌弘(美女&美少女ウォッチャー)】「文學ト云フ事」「音効さん」「かしこ」などTV界に数々の金字塔を打ち立ててきた演出家・片岡Kが最新作に撮りかかった。4月12日よりテレビ朝日系で(午後11時28分より)スタートの「いとしの未来ちゃん」がそれ。テレビ界の”天才”はどこへ向かおうとしているのか!

 片岡K。今、最も注目に値する演出家の一人である。フジテレビ深夜において、いまや伝説と化している、日本の名作文学を次々と予告編的にドラマ化した「文學ト云フ事」をはじめ、「音効さん」、「よい国」、「かしこ」、そして「私の叔父さん」など独特の映像と感性で片岡Kワールドを構築してきた。その後も「世にも奇妙な物語」の作品を何本か手掛け、さらに吉野紗香主演の「TOKY023区の女/目黒区の女」、安田成美の産休後復帰作「恐い女シリーズ/殴る女」を撮り、そして鈴木保奈美と田ロトモロヲ、オナペッツの共演を実現させた「3番テーブルの客」など、次々とドラマ界に金字塔を打ち立ててきた演出家なのである。
 テレビ出身の若手演出家としては「LOVE LETTER」「スワロウテイル」の岩井俊二、「7月7日、晴れ」「友子の揚合」の本広克行に続く第3の星と言っても過言ではあるまい。
 そして、さらには「文學ト云フ事」でイメージキャラクターに起用した若手人気女優・井出薫と極秘入籍していたことが発覚して、一部の心ある人々(わたしを含む)を絶旬させた。
 その片岡Kが「金魚のフン」に続いてテレビ朝日ウイークエンドドラマに登板。しかも今回はシリーズ11本のすべての脚本&演出を担当。久々に完全なる片岡Kワールドの出現となる。

脚本・演出、一人で連続11本!! 無茶?

 内容は次ぺージを見てもらうとして、基本的な構想としては
「近未来を題材にやりたい。そして近未来を描くのに、合成とか特撮とかを使わずに描きたいなど。どちらかというと演劇の演出方法でテレビドラマを作ってみたかった」そうだ。
 特に大橋泰彦さんの岸田戯曲賞を受賞した「ゴジラ」、三原山出身の娘が東京でゴジラと仲良くなって、三原山に住む両親のもとに結婚したいとゴジラを連れて帰るという作品のゴジラの存在の出し方とか、怪獣役を普通の人間がそのまま演じてしまうのに衝撃を受けたのが大きかったとか。約10年前に見たというその衝撃がどう活かされるか。
 そして気になるのがキャスティング。今回は完全な1話完結で、各話に登場するのは、導入部分の姉妹役を除くとオナペッツ、カワイ麻弓、村嶋亮のみ。
「今、僕、旬ですから。キャスティングしやすいじゃないですか(笑)」と自信たっぶりだけあり、第1話には映画「スウィートホーム」以来のNOKKOをはじめ、鈴木一真、永作博美が出演。さらに第2話には袴田吉彦、第3話には映画「ありがとう」などで活躍した夏生ゆうな、そして第4話には富田靖子の出演が決定している。
 いくら30分とはいえ、脚本・演出を連続11本一人で担当するのは本来、無茶。本人は「文學ト云フ事」で一応経験済みだが、
「当時はドラマの素人でロケハンや衣装合わせも満足にしてないし、若かったからなあ(笑)」というわけで、非常にタイトなスケジュールの中、新婚生活をないがしろにしてまで頑張っている、まさに今が旬の片岡Kの世界を思う存分堪能しましょう。









「いとしの未来ちゃん」はこんな、お話です……
 舞台は西暦2100年。当然、この100年以上の間に、文明は更なる発展を遂げ、さまざまな発明品や新たな文化を作りあげたハズなのだが……。結果として人類は現代と何ら変わらぬ生活を、いや、むしろ現代よりもはるかに古めかしく、シンプルな生活を送っていた……。
 物語は2100年の森の中の洋館に住む二人の姉妹の部屋から始まる。窓にはろうそくの灯、古い家具に囲まれた部屋。机に向かい勉強中の少女(13歳・橋本真実)、ベッドで絵本を読んでいるその妹(5歳・稲葉彩夏)。
 妹が少女に質間する。
 「アンドロイドって何?」
 すると少女が答える。
 「ああ、ロボットのことね……。
 もうないわ。必要ないから……。」
 「どうして?」
 少女はちょっと困ったなという顔をしながら、アンドロイドがなくなってしまった事情を説明するお話を始める……。
 いつも、こういう形で物語が始まっていく。
 導入部分については、ティム・バートンの映画「シザーハンズ」の子供がおばあさんに、どうして雪が降るのか質問して、それにおばあさんが答える形で映画が始まるのを使いたかったそう。
 そして第一話のサブタイトルは「時計じかけのオレンジ」。その後も「青いパパイヤの香り」「男と女」「眺めのいい部屋」「ナイトオンザプラネット」「太陽がいっぱい」など毎回、片岡Kが愛する映画のタイトルを使い、しかもBGMはその映画のサウンドトラック音楽しか使わない徹底ぶり。フジの深夜で「音効さん」を作ったことでもわかるように、映像と同様、音にも異様にこだわる片岡Kだけにそちらも大いに気になるます。

伝言板
NOKKOさんより
片岡Kならびに視聴者の皆様へのメッセージ

 「いとしの未来ちゃん」の「時計じかけのオレンジ」は未来のお話しで、アンドロイドの恋のお話しです。
 私の役は恋人型のオレンジちゃん。このアンドロイドは比較的安価でお手ごろなかわりにスイートな恋人どうしの会話でしか反応できないの。だから私の演技といえばニコニコ笑って「アイシテルワ」と言ったり、歌いながらオムレツを作っていること。そうしているうちにストーリーはどんどん進んで最後はちょっぴり悲しい展開に……。
 撮っている時はただただ必死でハイテンション。感慨なんて異次元か来世の事のようだったけれど家に帰って目が覚めたら、これは実に面白い仕事だったと感動してしまった。ストーリーが泣くほどかわいかったのと、それをとてもザックりと演出しているように感じられた片岡さんは本当にイキな人だと思った。
「スケサンカクサンコラシメテヤリナサイ」
私の頭の中は、まだ安いアンドロイドのままかしら……。
NOKKO




  「いとしの未来ちゃん」に出演する
橋本真実ちゃん
 「いとしの未来ちゃん」の注目点の一つは、このドラマで女優デビューする話題の新人・橋本真実ちゃんだ。本紙では彼女の独占インタビューに成功した。
 真実ちゃんは現在13歳。スカウトされて芸能界入り。今年、クレアラシルのCMでデビューしたばかり。
 「スカウトされる前は、女優さんになろうとは思わなかった。でも、やってみたら楽しい。監督さんにこうやってって言われて、その通りに自分ができたときは、うれしいなと思った。まだまだだけど」
 今回のドラマでは彼女は、ちょっと昔(未来が舞台なので、現代から見るとちょっと未来のことになる)の話を妹に話して聞かせる…というストーリーテラー役の少女を演じる。(全話登場するのは彼女たち姉妹だけ)
「ドラマのレギュラーに決まったときはビックリして何が何だか、わからなかった。やさしいおねえさんって感じで、やりたいなと思います。実際に私にも妹がいるんだけど、今回の妹役の女のコのほうがずっと年下なので、かわいい。面白そうなドラマだし、たのしみです。このドラマで、いろいろ勉強しようかなーって思う」
 ものおじしない、大物感ある雰囲気と元気なキャラクターが中学生らしい真実ちゃん。ふだんは、どんな女のコなのだろう。
 「うーん、うるさいとはよく言われます。マネージャーさんからも“真実、うるさいよ”ってたまに言われるし(笑)。小学校の頃と比べると積極的になって、今はクラスの書記もやってます。」
 未来が舞台のドラマということにちなんで、彼女の考える未来について聞いてみた。
 「きっと車がボタンひとつで動くようになると思う。電車は、なくなりそう。タイムマシンができたらいいな。過去に行ってお母さんの若い頃とかを見たい。未来はお楽しみにとっておく」
 さて、真実ちゃんは女優として、どのような未来を作って行くのだろうか。それもお楽しみ。(美少女評諭家・高倉文紀)




平成9年4月16日号「TVぴあ」に掲載された記事です。

雑誌を貸してくださった、庵廬氏には感謝してます。
ありがとうございました。