はじめに ┌───────────────────────────┐ │ この物語の中心となるエレベーターのシーンは、まず第一│ │に、ドアの外(やや俯瞰め)から見たワイドなワンカットに│ │て表現される。ドアの開閉や人の出入りはすべてこのカット│ │で描かれる。 │ │ エレベーター内の細部の描写や、上昇又は下降中のみ、カ│ │メラはエレベーター内に入ることを許される。その場合、エ│ │レベーターのドアは常に閉まった状態である。 │ │ │ │ また、ビルの最上階に住む大沢家の居間のシーンは、基本│ │的に窓の外から見たワイドなワンカットで表現される。カメ│ │ラが室内に入る場合は、窓の外をあえて描かない。 │ │ │ │ 番組で禁じていた「合成処理」に関しては、エレベーター│ │のドア及びS−1・実景に関しては妥協せざるを得ない。 │ └───────────────────────────┘ 登 場 人 物 マ チ コ(28) 富田 靖子 大沢 武雄(45) 平泉 成 大沢 華子(40) 山口 美也子 大沢そのみ(15) 若い男 村 島 亮 宅急便屋 ジョニー キャッシー エレベーターガール 子どもたち 少 女 橋 本 真 実 妹 稲 葉 彩 夏1 超高層ビル(夜)
| テロップ「ONCE UPON A TIME A.D.2025」 夜の街にそびえ立つ、超高層ビル。 天空の闇に向かってどこまでもどこまでも伸びている。 | |
| 少女の声 | 「むかしむかし、あるところに、超高層ビルがありました。地上1500メートル、300階建て。そこには、20万人もの人が住んでいました……」 |
| 窓辺に立つ、大沢家の主・武雄。 真面目だが、どこかとぼけた男である。 | |
| 武 雄 | 「(下の方を見て)……すごい眺めだ」 |
| 引っ越して来たばかりのため、 部屋の中にはダンボールの箱が山のように積み上げられている。 キッチンでは、妻の華子がダンボールから食器を出している最中。 引っ越しだというのに、なぜか和服を着ている、おっとりとした女である。 | |
| 華 子 | 「ね。最上階にして良かったでしょ?」 |
| 武 雄 | 「いや、もう少し下の方が良かったかもしれんな」 |
| 華 子 | 「どうして? いい眺めなんでしょ?」 |
| 武 雄 | 「いや、いい眺めっていうかソノ……すごい眺めなんだ」 |
| 華 子 | 「すごい眺め……?」 |
| 華子も、武雄のいる窓辺に、来る。 | |
| 武 雄 | 「見てみろ」 |
| 華 子 | 「(窓の下を見て息を飲み)……すごい」 |
| 武 雄 | 「なっ、すごいとしか言いようがないだろ」 |
| 華 子 | 「……雲?」 |
| 武 雄 | 「(頷き)ああ、雲だ。まさか窓から雲を上から見下ろすとはなあ」 |
| そこへ、娘・そのみがやってくる。 | |
| そのみ | 「お腹すいた」 |
| 華 子 | 「あらそのみちゃん、お部屋片づいた?」 |
| そのみ | 「まだ」 |
| 華 子 | 「今夜はママ、お料理出来ないわ。キッチンがまだ片づかなくて(と、キッチンへ)」 |
| 武 雄 | 「おい、そのみ。見たか? 窓の外」 |
| 近くにあったスナック菓子を手にした、そのみ。 | |
| そのみ | 「(食べながら)見たよ」 |
| 華 子 | 「そのみちゃんの部屋からは、何が見えるの?」 |
| そのみ | 「(食べながら)雲」 |
| 武雄・華子 | 「(同時に)やっぱり雲か……(と呟く)」 |
| そのみ | 「あ……そういえば、変な鳥がいた」 |
| 武 雄 | 「変な鳥?」 |
| そのみ | 「(窓に近づいて)ホラ、あれ」 |
| そのみ、窓の外を指す。 | |
| そのみ | 「変な鳥」 |
| 華 子 | 「(窓に近づき、見つけて)まあ、ホント。変な鳥」 |
| 武 雄 | 「……どれだ?」 |
| キョロキョロする、武雄。 | |
| 武 雄 | 「見えないぞ」 |
| そのみ | 「(華子に)初めて見たわ、あんな変な鳥」 |
| 華 子 | 「(そのみに)ものすごく変な鳥ね」 |
| 武 雄 | 「どこ? ねえ、どこ?」 |
| キョロキョロしている、武雄。 |