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 C M

11 (別の)エレベーター内

 チーンという音がして、ドアが開く。
マチコが入ってくる。
そこには、エレベーターガールが乗っている。

エレベーターガール「150階でございます。上へ参ります」
マチコ「……」

 さっき乗ったエレベーターよりも椅子がひとつ多いエレベーター。
エレベーターガールは、ボタンの横にある、その椅子に座っている。

エレベーターガール「このエレベーターは、30階ごとに止まる急行エレベーターでございます。ご利用階数をおっしゃってください」
マチコ「300階お願いします」
エレベーターガール「300階、かしこまりました。(とボタンを押し)お客様、シートベルトの着用をお願いいたします」
マチコ「シートベルト?」

 ふと見ると、エレベーターガールの椅子にはベルトがついている。
マチコが座る椅子にも、同様のベルトがあった。

エレベーターガール「急行エレベーターは、時速150キロで上昇いたしますので大きなGがかかり、大変危険です。そのため、シートベルトの着用と、エレベーターガールの同乗が義務づけられております」
マチコ「……なるほど(と、シートベルトを止める)」

 ドア、ゆっくり閉まる。
その瞬間、ものすごいスピードでエレベーターが上昇を始める。

×      ×      ×

上昇中のエレベーター。

マチコ「ぐわっ……!!」

 と、のけぞるマチコ。猛烈なGがかかり、身体中がブルブルと震えている。

エレベーターガール「……」

 エレベーターガールはすました顔をしている。
が、Gがかかるので、頬だけはブルブルと震えている。

エレベーターガール「(頬を震わせながら)180階、通過いたします……」

 グングン変わる、デジタル数字。「180」「190」「200」……どんどん増えて行く。

エレベーターガール「(頬を震わせながら)210階、通過いたします……」

 その時、マチコの持っていたビニールの手さげ袋から、パシュッ、パシュッという音がする。

マチコ「?」

 シュワーッという音も聞こえる。

エレベーターガール「(頬を震わせながら)240階、通過いたします……」
マチコ「(袋を見て)な……何、コレ?」
エレベーターガール「(頬を震わせながら振り返り)どうかしました?」
マチコ「コ……コーラが……」
エレベーターガール「270階、通過いたします。ああ、コーラですね? 気圧の関係で、炭酸飲料は膨張して破裂することがございます。300階、到着いたします」
マチコ「気圧の関係……?」

 チーン、という音とともに、ドカーンと衝撃。

マチコ「(腰が浮き上がり)ギャッ」

 エレベーターが停まった。

×      ×      ×

ドアが開く。

マチコ「……」
エレベーターガール「300階でございます」
マチコ「は……速い!」
エレベーターガール「ご利用ありがとうございました。200円になります」
マチコ「え? お金取るんですか?」
エレベーターガール「急行ですから」
マチコ「……」
エレベーターガール「200円になります」
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