| チーンという音がして、ドアが開く。 マチコが入ってくる。 そこには、エレベーターガールが乗っている。 | |
| エレベーターガール | 「150階でございます。上へ参ります」 |
| マチコ | 「……」 |
| さっき乗ったエレベーターよりも椅子がひとつ多いエレベーター。 エレベーターガールは、ボタンの横にある、その椅子に座っている。 | |
| エレベーターガール | 「このエレベーターは、30階ごとに止まる急行エレベーターでございます。ご利用階数をおっしゃってください」 |
| マチコ | 「300階お願いします」 |
| エレベーターガール | 「300階、かしこまりました。(とボタンを押し)お客様、シートベルトの着用をお願いいたします」 |
| マチコ | 「シートベルト?」 |
| ふと見ると、エレベーターガールの椅子にはベルトがついている。 マチコが座る椅子にも、同様のベルトがあった。 | |
| エレベーターガール | 「急行エレベーターは、時速150キロで上昇いたしますので大きなGがかかり、大変危険です。そのため、シートベルトの着用と、エレベーターガールの同乗が義務づけられております」 |
| マチコ | 「……なるほど(と、シートベルトを止める)」 |
| ドア、ゆっくり閉まる。 その瞬間、ものすごいスピードでエレベーターが上昇を始める。 × × × 上昇中のエレベーター。 | |
| マチコ | 「ぐわっ……!!」 |
| と、のけぞるマチコ。猛烈なGがかかり、身体中がブルブルと震えている。 | |
| エレベーターガール | 「……」 |
| エレベーターガールはすました顔をしている。 が、Gがかかるので、頬だけはブルブルと震えている。 | |
| エレベーターガール | 「(頬を震わせながら)180階、通過いたします……」 |
| グングン変わる、デジタル数字。「180」「190」「200」……どんどん増えて行く。 | |
| エレベーターガール | 「(頬を震わせながら)210階、通過いたします……」 |
| その時、マチコの持っていたビニールの手さげ袋から、パシュッ、パシュッという音がする。 | |
| マチコ | 「?」 |
| シュワーッという音も聞こえる。 | |
| エレベーターガール | 「(頬を震わせながら)240階、通過いたします……」 |
| マチコ | 「(袋を見て)な……何、コレ?」 |
| エレベーターガール | 「(頬を震わせながら振り返り)どうかしました?」 |
| マチコ | 「コ……コーラが……」 |
| エレベーターガール | 「270階、通過いたします。ああ、コーラですね? 気圧の関係で、炭酸飲料は膨張して破裂することがございます。300階、到着いたします」 |
| マチコ | 「気圧の関係……?」 |
| チーン、という音とともに、ドカーンと衝撃。 | |
| マチコ | 「(腰が浮き上がり)ギャッ」 |
| エレベーターが停まった。 × × × ドアが開く。 | |
| マチコ | 「……」 |
| エレベーターガール | 「300階でございます」 |
| マチコ | 「は……速い!」 |
| エレベーターガール | 「ご利用ありがとうございました。200円になります」 |
| マチコ | 「え? お金取るんですか?」 |
| エレベーターガール | 「急行ですから」 |
| マチコ | 「……」 |
| エレベーターガール | 「200円になります」 |