| 時計の針は、6時31分をさしている。 窓辺のスリーショット。 | |
| 武 雄 | 「腹減ったな……」 |
| そのみ | 「(時計見て)あっ、30分過ぎたよ」 |
| 華 子 | 「じゃあ、ピザ無料だわ」 |
| 武 雄 | 「あっはっは。もうかったな」 |
| そのみ | 「45分過ぎたら、次回も無料だよ」 |
| 武 雄 | 「そんなサービスもあるのか?」 |
| 華 子 | 「最近始まったみたいね」 |
| 武 雄 | 「ピザ屋も増えたからなあ。いろいろサービスしないと生き残れないんだろうな」 |
| そのみ | 「1時間過ぎたら、永久に無料で頼めるんだよ」 |
| 武 雄 | 「そりゃいいな。一生ピザがタダになるのか」 |
| チーン、という音。開くドア。 | |
| マチコ | 「やっと、118階か……」 |
| そこへ、派手な化粧をしたミュージシャン風の男女が乗ってくる。 ジョニーとキャッシーだ。 なんとなく不気味な二人。 ドアが閉まる。 × × × | |
| ジョニー | 「(壁のボタンを押そうとして)あっ」 |
| キャッシー | 「(も見て)あっ」 |
| 二人、ズラッと点灯したボタンを見て、マチコをジロリと睨む。 | |
| マチコ | 「(目を逸らす)」 |
| ジョニー | 「いたづらは良くない。そう思わねえか、キャッシー」 |
| ジョニー、ポケットからカッターを出し、キリキリと刃を動かす。 | |
| キャッシー | 「(頷き)あたしもそう思うわ、ジョニー」 |
| キャッシー、ポケットからチェーンを出し、小さく振り回す。 | |
| マチコ | 「(小さな声で必死に)私じゃありません」 |
| × × × チーン。119階。ドアが開く。フロアには、人の気配。 急に、マジメな若者のように振る舞う、ジョニーと キャッシー。カッターとチェーンをしまって、 | |
| ジョニー | 「言い訳は良くない。僕はそう思うんですよ、キャッシーさん」 |
| キャッシー | 「ええ。私もそう思いますわ、ジョニーくん」 |
| マチコ | 「(笑顔で)子どもがやったんです、子どもが」 |
| ドアがまた閉まる。 × × × 上昇中のエレベーター。 再び異様な雰囲気になる、ジョニーとキャッシー。 | |
| ジョニー | 「これじゃあ、いくら時間があっても足りねえ。そう思わねえか? キャッシー(と、カッターをキリキリ)」 |
| キャッシー | 「思うわ、ジョニー(とチェーンをブンブン)」 |
| マチコ | 「(土下座して)ゆるしてください」 |
| × × × | |
| チーン。120階に到着。ドアが開く。 | |
| ジョニー | 「120階だよ、キャッシー」 |
| キャッシー | 「急行に乗り換えるチャンスね」 |
| ジョニーとキャシー、さっさと降りていく。 | |
| マチコ | 「(ホッと安心)」 |
| マチコ | 「……(思い出したように)え? 急行?」 |
| ドアが閉まる。上昇する音。 |