| 時計の針は、6時20分をさしている。
窓辺にいる、大沢家の3人。 全員で変な鳥を探している。 | |
| そのみ | 「(窓をごしごし拭いて)すぐ曇るね、この窓」 |
| 武 雄 | 「(双眼鏡を覗いたまま)ああ、地上1500メートルだからな。部屋の中と外との温度差が激しいんだよ」 |
| 華 子 | 「寒いのかしら、外……」 |
| 武 雄 | 「寒いだろう」 |
| そのみ | 「ちょっと開けてみよっと」 |
| 武 雄 | 「お、おい……」 |
| そのみ、窓を開ける。 開けた途端、ものすごい風がブワーッ!! と入ってくる。 | |
| 華 子 | 「キャーッ」 |
| 武 雄 | 「うわああああああッ」 |
| その叫びも聞こえないほどの轟音と突風。 3人、髪は一気に逆立ち、顔もひん曲がる。 慌てて窓を閉める、武雄。 | |
| 武 雄 | 「駄目じゃないか、開けちゃ」 |
| そのみ | 「……(驚きで何も言えない)」 |
| 武 雄 | 「不動産屋にうるさく言われてるんだ、窓だけは開けるなって」 |
| 華 子 | 「(震えて)息が……出来なかったわ」 |
| 武 雄 | 「空気が薄いんだ。飛行機の窓を開けるようなもんなんだぞ」 |
| チーンという音がしてエレベーターのドアが開く。 | |
| 宅急便屋 | 「あ」 |
| マチコ | 「止まりました。(デジタルの数字を見て)90階です」 |
| 宅急便屋 | 「ちっ。下りに乗換えるしかないな(と、出ていく)」 |
| そこへ、幼い子どもが二人、乗ってくる。 ゆっくりと閉まるドア。 | |
| × × × | |
| 子どもたち、ボタンの前に立つ。 上昇し始める、エレベーター。 | |
| 子どもたち | 「……(じっとマチコを見つめる)」 |
| マチコ | 「ボ、ボタンは自分で押してちょうだい(と、椅子へ)」 |
| と、突然、沢山のボタンをガチャガチャと押し始める子どもたち。 | |
| マチコ | 「あ……あ……(立ち上がるが、どうしていいかわからない)」 |
| × × × チーンと音がして、ドアが開く。 | |
| 子どもたち | 「わーい(と逃げて行く)」 |
| マチコ | 「ちょ……ちょっと!!」 |
| 見ると、92階から180階ぐらいまでのボタンがズラーッと点灯している。 | |
| マチコ | 「(じっとそのボタンを見つめたまま立ち尽くす)」 |
| ゆっくり閉まる。ドア。上昇する音。 | |
| × × × | |
| 92階。チーンという音がして、ドアが開く。 | |
| マチコ | 「……(立ち尽くしたまま)」 |
| 再びゆっくりと閉まるドア。そして上昇音。 | |
| × × × | |
| 93階。チーンという音がして、ドアが開く。 | |
| マチコ | 「(立ち尽くしたまま)これじゃ、6時30分までに着けない……」 |
| 再びゆっくりと閉まるドア。そして上昇音。 |