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6 エレベーター内(夜)

 チーンという音がして、鉄の扉が開く。
ピザの入った赤い箱と、サラダやコーラが入った赤い手さげ袋を持ったマチコが入ってくる。
そこは20畳はあろうかという、バカでかい部屋。
中には椅子が三つある。

マチコ「あれ?」

 そこへ若い男が入って来て、椅子に座る。
マチコ、キョロキョロして、

マチコ「……あ、すいません、エレベーターはどこですか?」
若い男「ここですよ」
マチコ「え?」
若い男「これが、エレベーターです」
マチコ「これが?」

 その時、ドアがゆっくり閉まっていく。

マチコ「……(閉まるドアをじっと見つめる)」

 ×      ×      ×

若い男「何階ですか?」

 若い男がなにげなく手を伸ばした壁面を見ると、
そこには押しボタンがズラーッと並んでいる。

マチコ「うわーっ」

 一列に15個のボタン。それが20列並んでいた。

マチコ「300階……です」
若い男「ああ、最上階ですか、遠いですね。僕は39階です」

 若い男、一番右の一番下、「300」のボタンを押 す。
そして、自分が降りる「39」も押す。
エレベーター全体がグオンッ、と揺れ、ゆっくりと上昇を始める。

マチコ「う……動きだした」

 ドアの横についた、デジタル表示の数字がひとつず つ増えていく。
「1」から「2」へ。
そして、「3」「4」「5」……。

若い男「座ったらどうです? 長いですよ」
マチコ「あ、はい」

 マチコ、デジタル数字をチラチラ見ながら、椅子に座る。
エレベーターは次第に加速する。
「10」「11」「12」……どんどん数字が増える。

 ×      ×      ×

 チーン。ドアがゆっくりと開く。39階に到着。

若い男「じゃ(と会釈して、出ていく)」
マチコ「どうも」

 ドアが閉まり始める。
その時、バタバタと足音が、そして「待って!」という声が聞こえる。

マチコ「あっ(慌てて立ち上がり、「開」のボタンを押す)」

 ドアが開く。
乗って来たのは、荷物を持った宅急便屋。

宅急便屋「すいません」
マチコ「いえ(と、座る)」

 再び、ドアがゆっくり閉まる。

 ×      ×      ×

 郵便屋、ボタンの前に立つ。

宅急便屋「(荷物を見て)えーっと……47か。(ボタンを見て)……47……47……」

 ボタンを探すのに時間がかかる。
その間に上昇を始める、エレベーター。

宅急便屋「(マチコに)どこかな? 47は」
マチコ「え?」
宅急便屋「47」
マチコ「(立ち上がり)47……? えーっと」

 二人で探す。その間に、ぐんぐん加速。
デジタルの数字は「44」「45」「46」「47」と増えて行く。

宅急便屋「あ、越えちゃったよ。47」
マチコ「越えちゃいましたか」
宅急便屋「やばい。ちょっと50押して」

 どんどん加速する、エレベーター。

宅急便屋「だめだ、55。55押して」
マチコ「あっ、ありました47」
宅急便屋「47じゃないよ、55。いや、60」
マチコ「え? 60?」

 ボタンの前でオロオロする、マチコ。
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