| 父 | 「(眼鏡を取り出し)パパは、出かける時は毎日この眼鏡をかけてるんだ。記憶を残しつづけてもう20年以上になる。一つの項目で20や30になるのは当たり前だよ」 |
| 愛 | 「早く知りたい、ビートルズのもう一人」 |
| 父 | 「そうだったな。えーっと、どれを見るか」 |
| 愛 | 「どれでもいいんでしょ?」 |
| 父 | 「一番新しいのにするか」 |
| 愛 | 「(モニターを見て)4251番だって」 |
| 父、本棚からディスクのファイルを取り出す。 その中から一枚を出し、 | |
| 父 | 「再生してみよう。4251の?」 |
| 愛 | 「4251の69番よ」 |
| 父、ディスクを挿入し、テンキーを叩く、 |
| ゆっくりとフォーカスインしていく、映像。 |
| テロップで「No.4251-69/2026年12月10日」 ----そこは、トイレの中。 ジャーッと水を流し、トイレから出ていくカメラ。 | |
| 愛の声 | 「ちょっとパパ。これ何?」 |
| テレビの前の、愛と父。 | |
| 父 | 「なんだっけな。全然覚えてない」 |
| 愛 | 「あたしの聞いてるのは、ビートルズよ」 |
| 父 | 「まあ見てろ。もうじき出てくるはずだ」 |
| トイレを出るの、そこはランジェリー・パブ。 | |
| 愛の声 | 「何よコレ。エッチなお店じゃない」 |
| 店の中、盛り上がっている。 | |
| 父の声 | 「あれ? おかしいなあ」 |
| カメラ、自分の席に到着。 | |
| 女1 | 「遅かったじゃなーい」 |
| 女2 | 「あら、その眼鏡……」 |
| 女3 | 「記憶を残す眼鏡でしょ?」 |
| 父の声 | 「うん。なかなかいい店だから、記憶にとどめておこうと思ってさ」 |
| 女4 | 「やだー。お店じゃなくて、あたしたちのボディをとどめておくんでしょ?」 |
| 父の声 | 「はっはっは。まあ、な。キミのボディだけは消去したいけどな」 |
| 女4は、すごいデブである。 | |
| 女1 | 「さ、続きをやりましょ、古今東西の」 |
| 女2 | 「やりましょ、やりましょ」 |
| 父の声 | 「ようし、じゃ……古今東西、ビートルズのメンバー!!」 |
| テレビの前の愛と父。 | |
| 父 | 「ほら見ろ。やっぱりこれだ」 |
| 愛 | 「(がっくり)」 |
| 「古今東西」が始まる。女たち、一人ずつ、 | |
| 女1 | 「ポール・マッカートニー!!」 |
| 女2 | 「ジョン・レノン!!」 |
| 女3 | 「ジョージ・ハリスン!!」 |
| 女4 | 「リンゴ……」 |
| 画面、静止する。 |