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「こいつよ。羽賀々研二よ」
「そうか……。こいつの声だ」
「羽賀々研二?」
「昔のタレントよ」
「千人斬りの?」
「(父に)……ねえ、なあに? 千人斬りって」
「(無視して)なんで羽賀々研二の声が?」
「そう言えば、あのバーにいたわよ」
「羽賀々研二が?」
「すぐ隣の席に座ってた」
「ねえねね。千人斬りってなに?」


32 羽賀々研二の記憶(主観)

ゆっくりとフォーカス・インしていく、映像。
テロップで「No.19-7」「2007年8月18日」
そこは、父の記憶と同じ、バー。


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 カメラは、若き日の父と母の隣に座っている。

愛の声「これだわ。2007年8月18日」

 カメラの隣には、番組冒頭で登場した、女。


33 杉田家・リビング

 テレビの前の三人。

「あっ、ストライクだ」
「えっ?」
「あ。イヤ……その」
「なんだか画面が変よ」

 ときどき、ザーッとノイズがのる、テレビ画面。

「酔っぱらっているんだな」


34 羽賀々研二の記憶(主観)

 女、グッっとカクテルを飲み干す。


30


「強いねー、キミ。僕もう、酔っ払っちゃったよ」
「もう終わりにしましょう、あたしたち」
「何? ん? 何?」
「あたし、軽い男嫌いなのよ」

 女、立ち上がり、店を出て行く。

「さよなら」
「お、おい!!」

 女を追う、目線。

「(つぶやくように)……ケッ、コンチクショウ」

 その視線には、隣に座った、若き日の父と母が見える。
見つめ合っている、父と母。


35 杉田家・リビング

 テレビの前の三人。

「……」
「……」


31


「ケッ、コンチクショウ?」


36 羽賀々研二の記憶(主観)

逆回転して、再び再生される、バーの映像。
キュルキュルキュル、ピッ……。再生。

「ケッ、コンチクショウ」


37 杉田家・リビング

テレビの前の三人。

「……ケッ、コンチクショウ……」
「……ケッ、コン(チク)ショウ……」
「ケッ……コン……シヨウ?」
三人「(同時に)ケッコンしよう?」
「そ、そうだったのか」
「やっぱり(と泣く)」


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