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 リモコンを止めた、父。

「ジョージ・ハリスンだ!」
「そっか。ジョージ・ハリスンか」
「あー、スッキリしたなぁ」
「でもパパ、こんなお店に行ったことママに知られたら、大変だよ」
「大丈夫。パパとママは愛し合ってるんだから」
「でも最近ママの様子、変だよ」
「何が?」
「何がって……え?」

二人、振り返ると、そこには買い物から帰った、母の姿。

「ママ!」
「あ……っ!」
「……」

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14 杉田家・リビング

  食卓を囲む、父とは母、そして愛。
ただ黙々と食事が進む中、母だけは手をつけない。
「(父に小声で)ねっ、変でしょ?」
「(小声で)ああ」
「……あなた、あたしのこと、もう愛してないのね」
「(箸も止まって)……え?」
「そうよ。もう、愛してないんだわ」
「(父に)あんな店行ったからよ」

父、立ち上がって、

「何言ってんだよ。俺たちは近所でも仲がいい夫婦って、評判なんだぞ。結婚してもう20年以上になるが、俺はおまえを愛してるよ」

娘の愛も、必死にフォローする。

「そうよ、ママ。あんな店行くの、普通よ普通」
「あんな店行ったからって、ママを愛してることには全然変わりないさ。なあ。」


14


「毎朝出掛ける前だって玄関でチューしてるもんね」
「あははっ。よせよ、照れるじゃないか」
「その歳の夫婦にしては薄気味悪いぐらい仲いいわよ」
「だろ? だろ? あっはっはっは」

父と愛、口からご飯を飛ばしながら大笑い。

「ちがうわ!!」
「え……?」
「ママ……」
「昔のあなた、今よりあたしを愛してくれてた」
「……」
「朝のチューだって、今よりずっと長かったわ。チュ〜ッってぐらい、長かった」
「そんなことないよ。昔も今も同じだよ」
「そうよ、同じよ」
「比べてみたって、いいのよ」
「比べる?」


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「記憶を……再生するの?」


15 父の記憶(主観)

  ゆっくりとフォーカス・インしていく、映像。
テロップで「No.34-02」「2008年5月23日」
----そこは、杉田家の玄関である。
カメラの前には、若き日の母。
娘の愛にうりふたつの美しさ……。(一人二役)

父の声「じゃぁ、行ってくるよ」
若き日の母「いってらっしゃい(と微笑む)」
父の声「うん」

  カメラ、若き日の母の顔に近づく。
若き日の母、口づけを待つ顔になって……。


16 杉田家・リビング


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