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  テレビの前の家族3人。 父も母も、思わずキスの顔になっている。

「昔のママ、キレイだったのね(と、うっとり)」
「(目配せしながら)い、今だって綺麗じゃないか」
「そ、そうね」


「(画面見て)・・…長いな、チュー」
「うん。ずいぶん長いね」
「よし、昨日の朝のを見てみよう」


17 父の記憶(主観)

  ゆっくりとフォーカス・インしていく、映像。
テロップで「No.4661-73」「2030年5月23日」
----杉田家の玄関である。
カメラの前には、現在の、母の姿。


17


 
父の声「じゃぁ、行ってくるよ」
「いってらっしゃい(と微笑む)」
父の声「うん」
カメラ、母に近づく。
口づけを待つ顔になる母。


18 杉田家・リビング

  テレビの前の家族3人。 母、キスの顔。
だが、父は思わず目をそむけている。

「あ、終わった」
「……」
「0.2秒ぐらいだったわ……」
「(きつい口調で、愛に)昔と今じゃ全然違うでしょ?」
「う……うん。違う……」
「……」


18


  父、気まずい雰囲気を取り払うかのように、

「あっはっは。何言ってるんだ、気のせいだよ」
「あなたはもう、あたしを愛していないんだわ」
「(ごまかすように)そうだ。今日は久しぶりにみんなで昔の記憶を見ないか? 最近、古い記憶をちっとも見てないじゃないか。たまに再生しないと、忘れちゃうぞ」
「そうだね、ときどき見ないと、忘れちゃうよね」

無理にはしゃぐ、父と愛。

「忘れちゃうような記憶なの?」
「そ、そうじゃないよ。そういうことじゃない。なあ」
「あたし見たいなー。パパとママの記憶」
「だろ? だろ? よし、見よう。さ、検索検索」

父と愛、パソコンの前でカチャカチャとキーを叩き始める



CM


19




19 父の記憶(主観)

  ゆっくりとフォーカス・インしていく、映像。
テロップで「No.22-14」「2008年4月4日」
----そこは、教会。
カメラ、バージンロードを歩いていく。
目の前には、神父。今週のオナペッツは、神父だ。
カメラ、隣を見ると、そこには若き日の母。
ウェディング・ドレスを着ている。

ダイヤ「汝は、元気モリモリ体調万全の時も」
ルビー「脳みそぐちゃぐちゃ内臓ボロボロの時も」
ダイヤ・ルビー「この者と生涯を歩むことを、誓いますか?」
若き日の母「誓います……」
父の声「誓います……」
ダイヤ「じゃあ、誓いのキスを」
ルビー「激しいヤツを」

手が、若き日の母のベールを持ち上げる。



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